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石田衣良さん 直木賞受賞作「4TEEN」の続編刊行

2009年11月19日

写真石田衣良さん

■格差乗り越える16歳

 作家の石田衣良さん(49)が、直木賞受賞作『4TEEN(フォーティーン)』の続編を刊行した。14歳だった少年たちの2年後を描いた『6TEEN(シックスティーン)』(新潮社)。格差が広がる現代を、16歳が風のように駆け抜ける物語だ。

 前作から約6年。経済格差がより広がった「いま」を舞台にした。14歳から16歳までの間に起きる、ある変化が執筆の糸口になった。

 「同じ中学にいた子どもたちが、それぞれ別の進路へ行く。そこに階層の問題が顔をのぞかせてくるのです」

 学費の高い私立へ行くか、定時制へ進むか。そんなところに表れる格差を背景に、それでも地元のつながりを大切にする子たちを描ける、との感触があったという。

 『6TEEN』の少年たちは、再開発の進む東京・月島で暮らす。高級マンションから長屋までが混在する、象徴的な土地設定だ。ある少年は60インチ超の大型テレビを持っていて金に困らないが、別の少年はエアコン代も気にする。

 だが、それによって友情が崩れることはない。「日本人は、格差を軽々と飛び越える力を持っている」と石田さんは考える。例として、落語の世界観を挙げた。長屋の大工も偉い侍も同じように生きている、あの世界だ。

 「月島には億ションが10本、20本と建ったけれど、地元ではみんな一緒にもんじゃを食べている。金持ちもB級グルメをみて『うまそう』と思う。そういう日本人の良さはなくなっていない」

 前作の執筆時に思い描いた将来像に比べ、現実の「いま」では、情報化や技術革新も急速に進んだという。作中では携帯小説や写真付きブログも題材に採り入れた。

 「いまの子どもは、テクノロジーの急激な進歩に巻き込まれています。たとえば、何百億円もかけて純粋なお楽しみだけを目的に開発されたゲーム機がある。そんなものを前にしたら、子どもたちはひとたまりもありません」

 他方で「社会全体が揺り戻しで古くなっている」との感覚もある。「若い人ほど無理をしない。女の子は専業主婦になりたいというし、男の子は会社に唯々諾々と従っている。これは良くない。生き方に多様性がなくなり、全体に右方向に振れている」

 「大学生が生涯賃金の話をしますよね。あれは見ていて気持ちが悪い世界」ともいう。そんな意識は、「秋の日のベンチ」という章に登場する少年とホームレス男性との会話に反映されている。

 「どんな職業に就いていたんですか」「そんなにおれの仕事が問題かな。今、目のまえにいる人間のほうが大事なんじゃないか」

 石田さんは「(幸せの感じ方は)基準がたくさんあって、バラバラになるといい」と語っている。

 少年たちは今後どこに向かうのか。もし、「8TEEN(エイティーン)」を書くとしたら?

 「18歳には受験があるけれど、受験が大事というのは幻。受験の後を描けばいいんじゃないでしょうか」(高津祐典)

表紙画像

6TEEN

著者:石田 衣良

出版社:新潮社   価格:¥ 1,470

表紙画像

4TEEN

著者:石田 衣良

出版社:新潮社   価格:¥ 1,470

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