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国会図書館あと7年で満杯 出版点数増え納本続々

2010年4月8日

 国内の出版物をすべて集めて保存している国立国会図書館が、所蔵スペースの確保に苦心している。本の出版数は20年で倍増し、本の大型化も進んでいて、あと7年で満杯になりそうだ。電子データ化を進めつつも、「文化財」としての紙の状態での資料保存に力を入れるため、書棚の高さを数センチ単位で変え、利用頻度の少ない本は箱詰めすることを検討している。

 「空きスペースはどんどん減っていく。納本が多くて追いつかない」。国立国会図書館本館(東京都千代田区)で資料保管を担当する大塚奈奈絵課長は嘆く。

 45メートル四方の書庫が17フロアある本館は、厚さ3センチの本が約450万冊収蔵できる。だが、各フロアの書棚には学術書や官公庁の統計資料、文芸書から民間企業の社史まで並び、すでに9割が埋まっている。

 国立国会図書館法では、国内で発行された出版物は、発行者が国立国会図書館に納めるよう義務づけられている。このため、新たに発行された本が次々と寄せられる。

 所蔵スペース不足の原因は、納本数の増加だ。1989年に納められた民間の書籍は約5万9千冊だったが、2008年は約11万1千冊に増えた。長引く不況で本が売れず、少しでも売り上げを増やそうと出版社が新刊を次々に出しているためという。

 本の大型化も影響している。93年度に国の行政文書がA4判に統一され、官庁出版物だけでなく民間図書も大きくなった。国会図書館法の改正で、00年からはCDやDVDも保存することになり、書庫を圧迫している。

 書庫の確保は常に課題だ。本館と、約750万冊分を所蔵でき、新聞や雑誌などを保存する新館(千代田区)が満杯に近づいたため、02年に児童書など約40万冊を所蔵できる国際子ども図書館(台東区)と、約600万冊を収容できる関西館(京都府精華町)を新設した。しかし、すでに子ども図書館は9割、関西館も75%が埋まっているという。

 「一度は忘れられた出版物でも、100年後には時代を映し出す鏡になるかもしれない」。長期保存の意義をこう考える担当者は、スペースの有効活用に努める。

 これまで本館で2冊所蔵していた本は1冊だけにしていく。書棚の本の上部に空間がある場合は数センチ単位で書棚の高さを変える。大型の本はタテに置かずに横に寝かせる。閲覧申請がほとんどない古い本は箱詰めを検討する――といった具合だ。

 だが、広報担当者は「4館合わせても、このままでは7年でスペースがなくなりそうだ」と話す。関西館は増築できる施設になっているが、国の財政難で具体的な話は進んでいないという。

 本や雑誌、新聞の電子データ化も進めているが、凝った装丁や表紙など、紙でなければ伝えられない資料がある。奈良時代のお経の写本も保存されており、後世の研究にも役立つ原資料を守るという考えから所蔵に力を入れている。(野村雅俊)

     ◇

 〈国立国会図書館〉 国会議員の依頼を受けて立法に向けた調査をするほか、国民の財産として出版物の収集保存を担う。資料の保存と利用を両立させるため、蔵書を書庫に収め、請求を受けて閲覧に応じる閉架式図書館になっている。昨年3月末時点で図書が約929万冊、雑誌や新聞は約1309万点(約20万種類)など、所蔵は計約3564万点。紙の資料を長く保存するため、書庫は温度22度、湿度55%に保っている。

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