「歩いていると、ついてくるものがあった」と、最初の1行からいきなり、この世のものではない存在が現れる。日記に「真鶴」と残して夫が失跡。妻は、娘と母親と暮らしながら何度かそこを訪れ………[記事全文]
[掲載]2009年11月1日
12世紀の実在の人物によるラテン語で書かれた書簡集。激しい恋愛の末、別々に修道院生活を送った2人。男への切なる愛を訴える女に対し、男は神に仕える姿勢を貫く。男の最期を伝える資料付………[記事全文]
[掲載]2009年11月1日
漱石作品を「繰り返し読んできた」著者が、90年代前半に語った作品論。『吾輩は猫である』に表出する実生活での妄想。『行人』の中で、漱石の投影とされる一郎が見せる鋭敏さ。漱石のこんと………[記事全文]
[掲載]2009年11月1日
タレント本、自己啓発本、ベストセラー小説、時事ネタ本。話題の本を相手どった、「ワイドショー」的書評集。あえて宣言する「誤読」という視座を支える感性が、文庫化にあたり加筆された最新………[記事全文]
[掲載]2009年10月25日
奇妙な吸引力をもつ転校生の住む河原の廃屋に、がけの上からこちらを見つめている新築住宅。裏山へ続く道の先に潜むものの影、路地を歩く後ろにひたひたと迫るものの気配。古典的な幽霊譚(た………[記事全文]
[掲載]2009年10月25日
「受胎告知」や「最後の審判」など、聖書の世界を西欧の宗教画から読み解く。福音書の記述の不明確さに時代の作為を指摘する批判的見方や、フェルメールの名画に透視されるキリスト教的世界観………[記事全文]
[掲載]2009年10月25日
1970年11月25日、自衛隊東部方面総監部に乱入、切腹した作家の最晩年に、著者は週刊誌「平凡パンチ」の編集者として付き合った。騒然とした時代、三島は「その日」に向け弓を引き絞る………[記事全文]
[掲載]2009年10月18日
食べていれば何だって忘れられる。職場でのイジメも、彼の浮気だって。でもやっぱり彼に「かわいい」と言われたい。自信もとりえもないOLの「のこ」は、幸せな自分になるためにダイエットを………[記事全文]
[掲載]2009年10月18日
著名人の「自伝」を手がける「私」は、カリスマ的人気のある元英国首相の回想録を引き受ける。ところが聞き取りを始めるや「テロとの戦い」にかかわる重大疑惑が浮上。皮肉なユーモアが利いた………[記事全文]
[掲載]2009年10月18日
「私」の吹くハーモニカに合わせて妻が歌うのを大切な日課とし、庭に来る野鳥を眺めるのを喜びとする「山の上」の夫婦を描いた連作の10作目。巻末の長女の手記が、「要介護5」になった後も………[記事全文]
[掲載]2009年10月11日
博識とおおらかな筆致による、漱石とその周辺の作家たちのさまざまなエピソードが、昭和の時代に明治文壇の面影を伝えた表題作。あわせて、子規、鴎外ら明治の文人ゆかりの町々をめぐる「文学………[記事全文]
[掲載]2009年10月11日
裏稼業から足を洗い、京都の禅寺で寺男をする有馬次郎が、怠惰なバカミス作家と強気の女性記者の起こす騒動に巻き込まれる連作。「たぬきそば」の正体やみたらし団子ほか、名物から「裏京都」………[記事全文]
[掲載]2009年10月11日
言語や文化の多様性と、古代ギリシャ・ローマ文明の水脈に連なるある共通性の、両方を併せもつ欧州。フランスの歴史家が、キリスト教や封建制から欧州の歴史を説き起こし、思想や文化を含む成………[記事全文]
[掲載]2009年10月4日
日々のできごと、遠い日の思い出、時事問題。何げない生活上のふるまいから表現のツボにいたるまでが、「ことば」への鋭く健やかな感受性に貫かれた詩人のエッセー。短い一文に、我々の国語の………[記事全文]
[掲載]2009年10月4日
戦後の焼け跡からはいあがった会社に就職して、高度成長を支え、バブルに浮かれ……。定年男がふたり、またあの様式美に満ちた生活をふたたびと「株式会社ごっこ」を始める。企業理念は「絵空………[記事全文]
[掲載]2009年10月4日
小説を書きたい「わたし」は、配りきれず持ち帰ったチラシの裏に、メルヘンとともに4日分の日記をくり返し書く。文庫化で大幅な書き換えあり。森を抜け出た男たちが言葉の通じない毛深い女た………[記事全文]
[掲載]2009年9月27日
神谷新二は、幼なじみで天才的なスプリンターの一ノ瀬連と春野台高校陸上部に入部した。いつか連と競いたい、勝負したい。新二は顧問のみっちゃんや仲間たちに支えられ、トレーニングに励む。………[記事全文]
[掲載]2009年9月27日
農薬による環境破壊を告発した『沈黙の春』の著者の未発表の原稿や講演、手紙を収録した遺稿集。生命への畏敬(いけい)と自然との共生が思想の根幹をなすに至る道程が照射される。 ………[記事全文]
[掲載]2009年9月27日
参加者の一人がこつぜんと消え、「迷子つきツアー」と呼ばれてブームとなった海外旅行があった。だが、香港で89年、本当に行方不明になった青年がいた。彼が恋した女性、旅行参加者、添乗員………[記事全文]
[掲載]2009年9月20日
工芸、骨董(こっとう)、着物、文学……。草柳大蔵、秦秀雄、河合隼雄、鶴見和子ら、各界で活躍する人物たちとの対談13編を収録。会話のテンポや言葉遣いは相手によって自在に変化するが、………[記事全文]
[掲載]2009年9月20日