先日、古道具市でフリーメーソンのバッジを購入してから、強力な後ろ盾を得たようで心強いです。世界に400万人ものメンバーを有する巨大組織ながら実体がつかめないフリーメーソンは闇の陰謀勢力と畏(おそ)れられがち。しかし、欧米ではフリーメーソンはステータスなのです。
『石の扉』の著者は外国人のフリーメーソンの友人と知り合ったことがきっかけで、この秘密結社に興味を持つようになりました。そして、著者の実体験を交えながら、フリーメーソンの歴史が解き明かされていきます。坂本龍馬や力道山はさておき、実際フリーメーソンになるとどんな特典があるのでしょうか?
本の中で紹介されていた実例は、ブラザー(メーソン仲間)のレストランに行くとワインが一本無料で付いてきたり、空港の税関の列に並ばないで突破できたり……と、デパートのカード会員の優待よりもはるかにメリットがありそうです。本の冒頭では、秘密を暴いてやろうという意気込みが伝わってきたのですが、おそらく著者自身がメンバーになってからは(くわしいことはぼかされていますが)、「陰謀などは目論(もくろ)んでいない友愛組織」とアピールしているのが、かえって怪しいです。
闇で世界を牛耳っているといえば、人類は常にウイルスの脅威に晒(さら)されています。新型インフルエンザの危険性が叫ばれる中、『感染症は世界史を動かす』は、病原体が社会に与えてきた影響や感染症の歴史が説得力みなぎる文体で書かれています。たしかに病は恐ろしいですが、梅毒が蔓延(まんえん)していた18世紀のフランスではヴォルテールが梅毒の発疹を「性愛の花輪」と詩に詠んだり、ショパンは結核に侵された自分の胸の音を聞いて「雨だれ」を作曲したり、黒死病の壮絶な修羅場の描写が好色文学「デカメロン」の文学性を高めていたりと、死の淵(ふち)に立たされることでかえって人の創作欲は高まるのかもしれません。しかし、今の時代、感染症が流行したとしても、昔の人のようにそれを芸術作品に昇華できる気概のある人はいるのでしょうか……。
『これで世の中わかる! ニュースの基礎の基礎』の「地球規模で深刻化する環境問題」の章を読む限りでは、むしろ人間が地球にとってウイルスになってしまっているようです。