2005年04月06日12時51分のアサヒ・コム
		アサヒ・コムBOOK

»恐竜博2005:東京・国立科学博物館で7月3日まで 混雑情報・グッズはこちら

メインメニューをとばして、本文エリアへ朝日新聞社からアスパラクラブクラブA&A携帯サービスWeb朝日新聞サイトマップ文字拡大・音声

天気住まい就職・転職BOOK健康愛車教育サイエンスデジタルトラベル囲碁将棋社説コラムショッピングbe

書評

僕の見た「大日本帝国」 [著]西牟田靖

[掲載]2005年04月03日
[評者]加藤千洋

 それは30歳の若者にとって「あまりに唐突な風景だった」という。

 オホーツク海の寒風が絶えず吹きつける海辺にポツンと立つ鳥居。5年前の夏、バイクで旅した南サハリンの人口500人ほどの寒村ウズモーリエで、予期せぬ「戦前の日本」に出くわす。

 この「祖国、日本の過去というものを初めて突きつけられた」体験は、かつての「大日本帝国の領土」に足跡を探し求める旅にと著者を駆り立てた。

 ただし「重い過去」と向き合うにしては旅装はあくまで軽やかだ。今風のバックパッカーのそれで、時に足としてバイクやスクーターを駆使する。

 韓国では領有権問題が再燃する「反日の聖地」の竹島を遊覧船で巡った。いまでも日本語を共通語とする台湾の山地民族の古老と語り、酷寒の旧ソ満国境では残留孤児と対面。最後に訪れたミクロネシアのテニアン島では、膨張しきった帝国の息の根を止める2個の原爆を投下したB29の発進基地に立つ。

 かつての植民地、傀儡(かいらい)国家、信託統治領で、有形無形の「帝国の遺産」と、様々な形で過去を背負って生きる人々との出会い。そこには「『侵略』というたったひとことの言葉だけでは割り切ることのできないもの」があった。

 「目に見える遺産」である鳥居や忠魂碑、和風建築に強いこだわりを見せる著者は、一方で各地の老人たちが口にする日本語や立ち居振る舞い、観念など「目に見えない遺産」にも目を見張る。

 そして「植民地統治の是非については、これらの広大な地域で行われたことをひとまとめにして一元的な結論を出すことは、僕にはできない」と結ぶ。

 それは「『靖国問題』『尖閣諸島や竹島などの領土問題』『歴史教科書問題』など……盛んに取り沙汰(ざ・た)される『わかりやすい』対日行動以外に、現地にはさまざまな『反日』や『親日』のカタチが存在している」からだという。

 「過去に拘泥する必要はないが、過去を知る必要はある」という姿勢がバランスよく貫かれ、反日と親日のはざまを掘り起こしたルポである。



関連情報

    ここから広告です 広告終わり

    書籍詳細

    表紙画像

    僕の見た「大日本帝国」—教わらなかった歴史と出会う旅

    • 著者: 西牟田 靖
    • 出版社: エビデンス・コーポレーション株式会社情報センター出版局
    • ISBN: 4795843023
    • 価格: ¥ 1,680

    別ウインドウで開きますこの本を購入する 購入ヘルプ

    powered by amazon.co.jp

     
    ここから検索メニュー

    検索 使い方

    検索メニュー終わり

    朝日新聞サービス

    ここから広告です
    広告終わり

    BOOK おすすめレビュー

    売れ筋ランキング 一覧

    涼宮ハルヒの分裂

    BOOK サイトマップ



    powered by amazon.co.jp
    ▲このページのトップに戻る

    asahi.comトップ社会スポーツビジネス暮らし政治国際文化・芸能ENGLISHマイタウン

    ニュースの詳細は朝日新聞紙面で。» インターネットで購読申し込み
    asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
    | 朝日新聞社から | サイトポリシー | 個人情報 | 著作権 | リンク| 広告掲載 | お問い合わせ・ヘルプ |
    Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.