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[掲載]2005年04月10日[評者]松原隆一郎
エコノミストはながらくカネ回りが良くなれば社会も活気づくと唱えてきた。現実はどうか。「人の心はカネで買える」と断言したIT長者は、世間から手ひどい抵抗を受けた。「勝ち組」企業の従業員も過労に追い込まれ、経済苦ゆえの自殺者は未曽有(みぞう)の多さのままだ。これを矛盾と感じる鋭敏な人には、書名がコトリと腑(ふ)に落ちるだろう。
貴重なのは、社会評論にとどまらず経済の論理から説明を与えてくれる点。余力のあった70〜80年代に、高度成長で疲れた社会と生活を再構築すべきだったという説には共感する。財政を緊縮せず、親を長時間の勤務や通勤から解放して家族に戻し、子供が安心して遊べる地域を維持し、美しい自然を回復するなど。
だが性懲りもなく経済の中だけでカネを回そうとして無駄に公共投資や金融緩和を続け、構造改革では企業をシゴいて、揚げ句に経済も停滞した。政治家とエコノミストの責任を思い知る一冊。
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