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[掲載]2005年04月24日[評者]宮崎哲弥
精神の病などが原因で、心神喪失状態で行われた犯罪は処罰されない。
これは一般に「人道的」処遇であると思われている。
本書は、この通念に根底から異議を唱える。
精神障害者は、この規定のために「法の世界」から排除されている。公正な裁判を受ける権利を奪われる。
しかも、この規定によって、精神障害者は、一般社会においても、危険な存在と看做(みな)されてしまう。
「法の世界の住民でもなければ、社会の住民でもない」。「狂気」は二重の排除を受けているのだ。
だがこれは歴史的に形成された観念と制度である。
著者は、その来歴を辿(たど)り、刑事司法が精神医学的権力に侵食され、支配されていく過程を解き明かす。
いまや凶悪犯罪が起こると、犯人の行為自体ではなく、「心」や「内面」に焦点が絞られる。そして、犯人と「同じ心の傾向」を持った人々が問題視される。
かかる風潮の暴力性を徹底的に抉(えぐ)り出す思想史の冒険!
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