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書評

禅的生活のすすめ [著]ティク・ナット・ハン

[掲載]2005年05月08日
[評者]天外伺朗

 仏教を説く人は多い。が、真の実践をしてきた人はどれほどいるだろうか。著者は「行動する仏教」で高名なベトナムの禅僧だ。共産/非共産と、国を二分する戦争のさなか、悲惨な状態の村人を救うべく医療、教育、生活などを援助するボランティア団体を立ち上げた。ところが、両陣営から敵の活動と誤解され、多くの仲間を虐殺された。

 その中にあってなお、非暴力と哀れみを叫ぶ彼の言葉は、悲痛でさえある。

 たとえ彼らが

 山ほどの憎しみと暴力で

 あなたを打ち倒しても

 たとえ彼らがあなたを虫けらのように

 踏みつけ、踏みつぶしても

 たとえ彼らがあなたの手足を切りとり、はらわたを抜いても

 忘れないでください、兄弟よ

 忘れないでください

 人はあなたの敵ではないと……

 本書は、しかしながら、そういう極限状態の記述はほんの僅(わず)かであり、一般の市民の人生を豊かにする方法論に満ちあふれている。まず、あらゆる人の心の中に、仏性とともに、怒りや恐怖や憎しみの種子があり、それを肯定するところから非暴力の実践がはじまると説く。

 「自分の中の野獣は殺せませんし、また、殺そうとするべきでもありません」

 泥(自分の中の否定的な部分)があるからこそ、蓮(はす)(仏性)が花開くのであり、要はいかに泥と付き合うかにある。そのための方法論として(1)意識的な呼吸(2)意識的な歩行(3)瞑想(めいそう)、を勧めている。

 それらを実行していない文明人は、皆走っているという。「一歩踏み出すごとに、あなたは現在の瞬間に到達します。それだけで現在に到達するのですから、なぜ走る必要があるでしょう?」

 この言葉の深い意味がわからなかったら、上記(1)〜(3)を実行し、再度味わってほしい。本書の本当の深さは、実践をしないと心に落ちないだろう。

 世界中のすべての指導者、戦闘的な平和運動家や環境運動家に読んでほしい。まず、自分の心の平和がつちかわれない限り、よりよい社会は望むべくもない。



関連情報

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    書籍詳細

    表紙画像

    禅的生活のすすめ—あなたに平和が訪れる

    • 著者: 塩原 通緒・ティク・ナット・ハン
    • 出版社: アスペクト
    • ISBN: 4757211171
    • 価格: ¥ 2,100

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