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書評

私の家は山の向こう [著]有田芳生

[掲載]2005年05月29日
[評者]安倍寧

 日本で「時の流れに身をまかせ」シングル盤200万枚を売った歌手にとどまらない。テレサ・テンの歌う中国語の歌は、全アジア地域の中国人たちの圧倒的な支持を受けた。

 本の題名「私の家は山の向こう」は、香港での天安門事件抗議集会で歌った曲名に拠(よ)っている。彼女がこの歌に託したのは中国本土への熱い思いだった。

 取材期間10年余。世界各地に足を延ばした渾身(こんしん)のノンフィクション。彼女の人生の薄倖(はっこう)な側面がかなり書き込まれていながら、決して息苦しくならないのは、著者のテレサに注ぐ眼差(まなざ)しに愛があるからか。

 いくつもの新事実が明らかにされる。台湾軍スパイ説の根拠のなさ、チェンマイで客死する経緯など。電話インタビューした「北京青年報」記者の存在とその後は、とりわけ興味深い。

 人気スターを現代史の文脈のなかで読み解くとどうなるか。台湾と中国、ふたつの国家に引き裂かれたその悲劇性が改めて痛ましい。



関連情報

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    書籍詳細

    表紙画像

    私の家は山の向こう—テレサ・テン十年目の真実

    • 著者: 有田 芳生
    • 出版社: 文芸春秋
    • ISBN: 4163668403
    • 価格: ¥ 1,950

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