「金で買えないものなどあるわけない」。メディア買収騒動で名をはせたIT(情報技術)企業家の「名言」だ。彼は果たしてリバタリアンといえるか。政治哲学を学ぶ者のあいだで、ちょっとした論議になった。
リバタリアニズムは自由を最優先の価値とする思想だ。とても新しく、そして古い。その信奉者、リバタリアンが尊ぶ自由には経済的自由も含まれる。即(すなわ)ち、市場機構への信頼は厚く、政府の介入は悪とされる。
件(くだん)の企業家の、自由な競争を阻害している体制への「挑戦」は、リバタリアンの反乱とみなせそうだ。
私達(たち)は、自分でも気づかぬうちに部分的にリバタリアンになっている。世の流れを変え得る、実効的な思想とはそんなものだろう。
そこでこの「読本」。名立たる専門家が集結し、基本的コンセプトから読書案内まで、平易を旨として書き下ろした。
とくに近頃はやりの、恨みがましい「新自由主義批判」に飽き果てた人は是非!