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[掲載]2005年06月26日[評者]中西寛
「帝政民主主義」は著者の造語であり、プーチン体制は形式的には民主主義体制だが、実質においては帝政期の権力構造と似た形態になりつつある、というのが著者の結論である。
この体制は二面性をもつ。一方では、地方政府の自治権を奪い、大統領を頂点とする行政機構の集権化が進みつつある。同時に、身近な問題を解決する手段を奪われた住民の不満を直接にすくい上げる姿勢を示すことで、かつて皇帝に対して抱かれていた「慈父」としての大統領像を作り出し、世論の支持を獲得する。末端の統治機構に対して向けられた民衆の不満は大統領への期待(まず間違いなく実現しないのだが)を高め、その権力を強化する方向に作用するのである。
こうした政治構造の分析はさておいて、本書の白眉(はくび)は市井のロシア人が置かれた苦境の克明なリポートである。遅れているプーチン訪日を待つ間、ロシア社会の現状を知るために一読に値しよう。
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