書店で、帯に「国家を疑え!!」と大書されている新刊をみかけた。
だが強大な権力装置である国家を疑うのは、国民として当(あた)り前である。そのことと危急存亡の秋(とき)に、国のために犠牲を払うことのあいだには何の矛盾もない。どちらも近代の常識だ。
それが反体制気取りの惹句(じゃっく)になってしまう点に、この国の不幸の根がある。
改憲問題も同根。憲法とは統治権力を制限する法である。いわば国民による国家に対する命令、それも禁止を主とする命令だ。ここがよく理解されていない。
私は、軍事の基本問題に関する規定を欠く現行憲法には重大な穴があるとみている。しかし、だからといって近代憲法の基本原則を踏み外すような改憲を許してよいはずがない。
本書は護憲の立場からの改憲論批判の論集である。質にばらつきがみられるものの、全体として読ませる。憲法の本義を再考するために、あるいは改憲論を錬磨するために、一読の価値あり。