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[掲載]2005年07月17日[評者]松原隆一郎
アメリカを建国に導いた思想は何だったか。かつては自由主義者ロックの権利論が注目されたが、ここ30年は正反対に共和主義の義務論こそが建国に寄与したという見方が席巻した。
この問いが重要なのは、アメリカにはイギリスから独立した当時に唱えられた主張が、いまを生きる思想として息づいているからだ。個人の自由や商業利益という権利のみが追求される一方、商業を腐敗の原因とみなし、公徳心を保って国家や共同体の防衛義務を果たそうとする面もある。
本書は、そのような二面性こそが建国の精神だったと見る。1764年から76年に至るパンフレットや新聞など膨大な活字メディアに分け入り、そこにロックの『統治二論』が「同意による統治」や移住権、抵抗権の論として引用されていることを見いだし、「古き良き国制」を新天地で再現するのがかの革命だったと論証している。学術書ながら、思想が世界を変える様を生き生きと描く労作だ。
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