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書評

新聞記者 夏目漱石 [著]牧村健一郎

[掲載]2005年08月28日
[評者]野村進

 いまさら漱石論なんて、とおっしゃる向きも多かろう。だが、意外な“ミッシング・リンク”があった。朝日新聞記者としての漱石である。それを書いたのが現役の朝日新聞記者というのも、何かの因縁か。

 『こころ』も『それから』も、すべて朝日に新聞小説として発表された。著者は、漱石の入社が、彼自身にとっても、新聞界にとっても、いかに画期的な出来事であったかを、内部資料もまじえ、ドキュメンタリータッチで活写している。

 脇役たちもいい。いまや樋口一葉の片思いの相手としてしか記憶されていない半井(なからい)桃水(とうすい)が、実は日本初の海外特派員にして朝鮮語の達人だったなんて、あなた、ご存知(ぞんじ)でしたか?

 漱石を招聘(しょうへい)した池辺三山への義理立ての仕方や、律義なサラリーマン処世なども、私は初めて知った。入社時、給料についてドライな交渉をしたのに、十年勤めて結局、昇給はなかったというのも、著者の小さな“スクープ”であろう。



関連情報

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    書籍詳細

    表紙画像

    新聞記者夏目漱石

    • 著者: 牧村 健一郎
    • 出版社: 平凡社
    • ISBN: 4582852777
    • 価格: ¥ 819

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