2005年08月31日12時23分のアサヒ・コム
		アサヒ・コムBOOKこのサイトの使い方へ検索へジャンプメインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

 » asahi.comツールバー: 検索機能がアップ

  

 » 遣唐使展: 東京国立博物館で開催中

メインメニューをとばして、本文エリアへ朝日新聞社からアスパラクラブクラブA&A携帯サービスWeb朝日新聞サイトマップ文字拡大・音声

天気住まい就職・転職BOOK健康愛車教育サイエンスデジタルトラベル囲碁将棋社説コラムショッピングbe

ここから本文エリア現在位置asahi.comトップ >  BOOK > 書評 > 松原隆一郎記事

書評

美と礼節の絆 日本における交際文化の政治的起源 [著]池上英子

[掲載]2005年08月28日
[評者]松原隆一郎

 ライブドアによるニッポン放送買収騒動で、買収を仕掛けたH社長が軽装について「礼儀を失している」と貶(けな)されたことは記憶に新しい。だがなぜ、株の売買に礼儀だの作法だのが必要とされたのか。

 著者は市場取引を「基本的には心底を知りがたいストレンジャーである人びとのあいだでなされることが多い」とみなし、ゆえに「情緒コスト」が伴うと指摘する。企業の人事担当が採用を断る際に「残念ながらご希望にそえません」と一筆加えるのは、志願者に配慮してのことだ。見知らぬ人同士のつながりには、情緒コストを削減する「シヴィリティー(市民的礼節の文化)」が必要なのである。西欧では、中世身分制の崩壊後、礼節をいかに整えるかが問題となった。

 著者は前著『名誉と順応』で、中世日本の武士たちにおける「名誉」追求の文化が、主従関係が常に反故(ほご)にされる不確定性にさらされていたからこそ意義を持ったという斬新な解釈を示した。本書では、礼節の文化が「座」など中世における自発的結社を起源とすると見ている。連歌や茶の湯など集団で営まれるセッション型の芸能は、礼法にもとづく社交の典型だというのだ。

 こうした「美的なパブリック圏」は、徳川期に爆発的に拡大する。商品市場の広がりとともに都市では消費文化が花開き、高い識字率を背景に出版産業が勃興(ぼっこう)して、俳諧やファッション、貸本などで美を愛(め)でる結社が人々をヨコにつないだ。身分制や分割統治といったタテ割りの幕藩体制が全国を支配する一方で、それは私的な領域をつなぐ「弱い紐帯(ちゅうたい)」としてのみ容認された。こうした「徳川ネットワーク革命」によって美意識や礼節、教養が育まれ、日本は経済発展と近代化の準備を整えたというのである。

 コーヒーショップやパブにおける政治的討議が西欧における民主制の揺籃(ようらん)となったとしばしば言われるが、そうした理想の「市民社会」を経由しなかった日本がなぜ発展を実現したのか。「文化資本」や「社会資本」を繁栄の基盤とみなす近年の諸説を駆使しつつ、重厚かつ説得的な説明が展開されている。



関連情報

    ここから広告です 広告終わり

    書籍詳細

    表紙画像

    美と礼節の絆 日本における交際文化の政治的起源

    • 著者: 池上 英子
    • 出版社: NTT出版
    • ISBN: 4757141165
    • 価格: ¥ 4,410

    別ウインドウで開きますこの本を購入する ヘルプ

    書籍詳細

    表紙画像

    名誉と順応—サムライ精神の歴史社会学

    • 著者: 池上 英子
    • 出版社: NTT出版
    • ISBN: 4757140169
    • 価格: ¥ 4,095

    別ウインドウで開きますこの本を購入する ヘルプ

    powered by amazon.co.jp

     
    ここから検索メニュー

    検索 使い方

    検索メニュー終わり

    朝日新聞サービス

    ここから広告です
    広告終わり

    BOOK おすすめレビュー

    売れ筋ランキング 一覧

    涼宮ハルヒの分裂

    BOOK サイトマップ



    powered by amazon.co.jp
    ▲このページのトップに戻る

    asahi.comトップ社会スポーツビジネス暮らし政治国際文化・芸能ENGLISHマイタウン

    ニュースの詳細は朝日新聞紙面で。» インターネットで購読申し込み
    asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
    | 朝日新聞社から | サイトポリシー | 個人情報 | 著作権 | リンク| 広告掲載 | お問い合わせ・ヘルプ |
    Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.