アメリカに『レフトビハインド』という小説シリーズがある。既に十二巻を数え、五千万部を超える空前の大ヒットになっている。
原理主義的な黙示録解釈に基づく、極端な善悪二元論に彩られた「神学的」アドベンチャーSFである。だが、単なるエンターテインメントというより、宗教右派のポップカルチャーの代表格と理解すべきだろう。
邦訳も出ているが、あまりに荒唐無稽(こうとうむけい)で、とても日本人の腑(ふ)に落ちる内容ではない。だが、それを真に受けている人々が、同時にブッシュ政権の支持層の一角を成している。
本書は、そんな知られざるアメリカに光を当てる。著者はクリスチャンであり、組織神学の研究者だ。
宗教右派と概括される諸宗派——福音派やボーンアゲインに関する説明がやや一面的であったり、陰謀論的な政権批判に流れがちであるなど、幾つか気になる点もみえるが、それらを差し引いても読むに値する。アメリカの異貌(いぼう)を知るために!