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[掲載]2005年09月25日[評者]中西寛
原爆を開発したマンハッタン計画については、リチャード・ローズの『原子爆弾の誕生』を始め多くの文献があるが、本書は科学者グループを統括したヴァニーヴァー・ブッシュに着目して、科学と政治の相関を解き明かした佳作である。
電気工学の専門家ブッシュは、ドイツによる原爆開発を懸念する科学者の声を反映して政府を説き、開発計画を立ち上げる。科学者、政治家、軍人などの複雑な関係を巧みに調整し、米英間の交渉にも携わった。科学者が破滅的新兵器を開発することに倫理的問題を感じつつも、戦時における科学者の使命を果たすという態度をとった。
戦後、対ソ強硬論を唱える保守派になるが、かつての同僚オッペンハイマーの共産主義者疑惑に対しては弁護に回った。最後は彼のアナログ型のコンピューター構想がパソコンとインターネットにつながり、核時代を超える役割を果たしたという皮肉な巡り合わせも描かれている。
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