2005年10月19日11時25分のアサヒ・コム
		アサヒ・コムBOOKこのサイトの使い方へ検索へジャンプメインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

 » asahi.comツールバー: 検索機能がアップ

メインメニューをとばして、本文エリアへ朝日新聞社からアスパラクラブクラブA&A携帯サービスWeb朝日新聞サイトマップ文字拡大・音声

天気住まい就職・転職BOOK健康愛車教育サイエンスデジタルトラベル囲碁将棋社説コラムショッピングbe

ここから本文エリア現在位置asahi.comトップ >  BOOK > 書評 > 角田光代記事

書評

容疑者Xの献身 [著]東野圭吾

[掲載]2005年10月16日
[評者]角田光代

 いつもながら、この著者の小説はページをめくる手を止めさせないが、本書は、恋愛、友情、という普遍的なテーマを、じつに繊細に扱っている。

 天才的な頭脳を持ちながら、高校の数学教師に甘んじている石神は、アパートの隣に住む女性、靖子に、一方的な恋心を抱いている。あるとき、靖子と娘の美里が、訪ねてきた元夫を殺(あや)めてしまう。それを知った石神は、彼女たちの罪を完璧(かんぺき)に隠蔽(いんぺい)するべく、奔走する。石神の真の意図を、読み手は、靖子と同様に知らされない。石神が幾重にも仕掛けたトリックを暴いていくのは、学生時代の彼の唯一の友人だった物理学教授、ガリレオ先生こと湯川。まるで数式の証明を競って行うように、ガリレオ先生は石神の真意を読みとっていこうとする。

 靖子というのは読み手にとってはあまり魅力的な女性には思えない。弁当屋で働く、過去の不幸がなんとなく容貌(ようぼう)に染みついたような、中学生の母親である。しかしだからこそ、彼女を思う石神の気持ちが、不気味なまでにとぎすまされたものに思えてくる。彼女は石神の真意をまるで知らず、ただすがるような気持ちで、彼から与えられるほとんど意味不明の指示に従い続ける。

 一方で、石神とガリレオ先生の静かな応酬がくりひろげられる。「自分で考えて答えを出すのと、他人から聞いた答えが正しいかどうかを確かめるのとでは、どちらが簡単か」。そうして、石神の出した解答とはべつの解答をガリレオ先生は引き出し、みずからの答えに苦悩する。

 石神の意図がすべてわかったとき、ここに描かれる恋愛の形態にも、友情の在り方にも、胸をつかれる。ほとんど恋愛と無縁に生きてきた男の、決して他に汚されることのなかったまっさらな部分に、恋にすらならなかった彼の愛情に、ひれ伏すような気持ちになる。そして学生時代、才能を競い合った二人の、地味ながらきらめくような時間と、その才能が行き着いてしまった未来に、ただただ、うなだれる。どっしりと持ち重りのする小説だった。



関連情報

    ここから広告です 広告終わり

    書籍詳細

    表紙画像

    容疑者Xの献身

    • 著者: 東野 圭吾
    • 出版社: 文藝春秋
    • ISBN: 4163238603
    • 価格: ¥ 1,680

    別ウインドウで開きますこの本を購入する ヘルプ

    powered by amazon.co.jp

     
    ここから検索メニュー

    検索 使い方

    検索メニュー終わり

    朝日新聞サービス

    ここから広告です
    広告終わり

    BOOK おすすめレビュー

    売れ筋ランキング 一覧

    涼宮ハルヒの分裂

    BOOK サイトマップ



    powered by amazon.co.jp
    ▲このページのトップに戻る

    asahi.comトップ社会スポーツビジネス暮らし政治国際文化・芸能ENGLISHマイタウン

    ニュースの詳細は朝日新聞紙面で。» インターネットで購読申し込み
    asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
    | 朝日新聞社から | サイトポリシー | 個人情報 | 著作権 | リンク| 広告掲載 | お問い合わせ・ヘルプ |
    Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.