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[掲載]2005年10月16日[評者]松原隆一郎
なんとも熱い本である。
著者はジュネーブ大学の大学院で博士号を取った後、直接に世界銀行に就職した人。現場の実務を生々しく語る。砂塵(さじん)舞うアフリカ西部のモーリタニアで、現場の政情や貧困、文化に精通し、関係者をねばり強く説得しながら貸し出しを実施する情熱に打たれる。
だがもっと凄(すご)いのが、コネと権謀術数とアメリカの思惑が「鳴門海峡」ほど渦巻く世銀の実態である。ここまで実名を挙げ、当事者の息づかいを描いた本も珍しい。大蔵省からの出向組は、本省での居場所を気に掛け国際機関では小馬鹿にされ、それでいて「好きな精進料理の教祖の本をスペイン語訳する」ことに血税を奮発したりしている。
それでも後味に品があるのは、著者の人柄ゆえだろう。安田善次郎のひ孫でありオノ・ヨーコの妹であることも、ひけらかさない。開発実務に就く人、必読! 元気になりたい人、オススメの半生記である。
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