(1)中国農民調査(陳桂棣、春桃著、納村公子、椙田雅美訳)
(2)マオ 誰も知らなかった毛沢東 上・下(ユン・チアン、ジョン・ハリデイ著、土屋京子訳)
(3)威風と頽唐 中国文化大革命の政治言語(吉越弘泰著)
今年もあふれた中国本から個性を放つ3点を。(1)は人口13億の大国が抱える根本問題、すなわち農村・農民・農業の「三農問題」についての草の根からの告発ルポ。発展から取り残される農民の窮乏と農村幹部の腐敗に切り込み、刊行間もなく発禁とされた問題作だ。
「農村で都市を包囲する」と革命戦略を語ったのは毛沢東。「農民は動揺していない」と天安門事件で北京のデモ鎮圧を指示したのはトウ小平だった。
それほどに中国政治で決定的な要素であるはずの農民に、富農出身の毛沢東は強いシンパシーを実は持っていなかった。意外な毛像を提示したのが(2)だ。旧ソ連資料を用いて書きかえられた毛沢東像、中国現代史の「実相」は衝撃的だ。
その独裁者が発動した文化大革命中の政治的言説を克明に読み解く(3)は、大衆動員方式の政治運動のすさまじき実態も伝える。