(1)美と礼節の絆(きずな)—日本における交際文化の政治的起源(池上英子著)
(2)倫理としてのナショナリズム(佐伯啓思著)
(3)アースダイバー(中沢新一著)
小泉構造改革のもと、市場が社会や慣行、文化など経済以外の要因とかかわりを絶つよう改革が進められている。また、民営化とともに「国家」にかかわるモラルも放擲(ほうてき)されている。だが市場競争と審査の民営化は、建築物の耐震強度の偽造を許したのではないか。
(1)は、見知らぬ者が集う市場において売買相手に対する儀礼が不可欠であり、それは趣味のネットワークという「社会資本」によって準備されてきたことを、中世以来の連歌や茶の湯、俳諧に即して論じる。
(2)は、グローバル市場と地域経済を媒介するのは国家レベルでの公共心だとして、新たな現実に即した「市民的(シビック)ナショナリズム」の再興を唱える。
知的娯楽本の白眉(はくび)が(3)。今秋の台風でJR中央線周辺は浸水したが、被災個所が引用された縄文海進図に合致していて、びっくり。