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[掲載]2006年02月12日[評者]佐柄木俊郎
IT社会礼賛の書ではない。「情報」が世界観、人間観を一変させつつあるとの認識に立つ。しかし、人間がシステムに組み込まれ、日々情報処理に追われて、内面からコンピューターの奴隷化されつつあるのではないか、との厳しい異議申し立てである。「人間を機械化していく現在の流れを逆回転させること」が表題の意味だという。
ITはユダヤ・キリスト教的な一神教の進歩思想の産物だとする著者は、それが促す競争原理がむき出しで持ち込まれ「とんでもなくひずんだ」日本社会を痛烈に批判する。自殺の増加や、若者たちのニート化と階層分化。はびこる消費主義、快楽主義。資源のないこの過密社会には、エゴや競争を超えた「聖性」が必要なのではないか、と。
思想的な鍵は、人間や生物を外からでなく、内側から認識しようとする仏教やその源流のインド哲学にあるのではないか。これが著者の問いかけだ。
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