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書評

ざわわ ざわわの沖縄戦 [著]田村洋三

[掲載]2006年06月25日
[評者]最相葉月(ノンフィクションライター)

 冒頭、沖縄戦の犠牲者を悼む「さとうきび畑」の歌に関する衝撃的な事実を知らされる。昭和42年に発表されてから20年以上もの間、作詞作曲した寺島尚彦のもとに沖縄からの反響は一通も届かず、沖縄戦を生き抜いた人々の中には、誤解を与えかねない歌だという批判もあるというのだ。

 戦時下の沖縄で殉職したヤマトンチュウ(本土人)を主人公に数々のルポを発表してきた著者は今回、サトウキビの品種改良に勤(いそ)しんだ兵庫出身の農事試験場長・北村秀一の生涯を中心に、サトウキビ(キビ)と沖縄戦の関(かか)わりを描いた。

 「命の糧」であるキビに光が当てられたことで、地上戦の残酷さはいっそう生々しく際立つ。人々の飢えを癒やし、束(つか)の間の休息の場となったキビ畑。だが米軍は畑を次々と焼き払い、沖縄戦末期には「ざわわ」と揺れるキビなどなかった。火だるまで死んだ祖母の無念を語る者。家族が一人ずつ欠けていった、悲劇の「南部落ち」と呼ばれる逃避行の実態も明らかになる。

 本土の沖縄搾取の歴史は薩摩の琉球支配に始まり、キビ生産農民から奪った黒糖は明治維新の資金源だったという。「ざわわ」と歌う前に知るべき人生がここにある。


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    書籍詳細

    表紙画像

    ざわわ ざわわの沖縄戦—サトウキビ畑の慟哭

    • 著者: 田村 洋三
    • 出版社: 光人社
    • ISBN: 476981299X
    • 価格: ¥ 1,890

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