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書評

サバイバル登山家 [著]服部文祥

[掲載]2006年08月20日
[評者]最相葉月(ノンフィクションライター)

■濃くて熱いが、冷静さも

 みんながみんなネットでつながり、どこまでが自分の頭で考えたことなのか、自分の力で作ったものなのか、境目がわかりにくくなっている。そんな時代に、自分ひとりで何ができるかを考えぬき、実行する36歳の登山家の手記だ。

 濃ゆい人。うっとうしいぐらい存在感がある。なのに彼は欲する。「生命体としてなまなましく生きたい。自分がこの世界に存在していることを感じたい」

 うわっ、もう十分存在してるよと思うのだが、他人がいうのでは駄目らしい。自分自身が実感せねば。

 彼は山に登る。知床、日高、アルプスへ。装備を持たないサバイバル登山だ。乾燥米を盗んだキタキツネを今度会ったら食ってやると憎み、「岩魚(いわな)の口に引っかかっているのは僕の意志だ」といってかぶりつく。自分のしていることは遊びかと問う冷静さもある。この冷熱の往復運動が、本書を読みごたえのある挑戦的な文明論に仕上げている。

 重装備でK2登頂を成し遂げた反動とか、平和な時代の自分探しとか、いろいろ人はいうだろう。私はただこんなやつがいるというだけで愉快だし、嫉妬(しっと)するほど文章がうまいから、彼の本は次も要チェックと思った次第。


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    書籍詳細

    表紙画像

    サバイバル登山家

    • 著者: 服部 文祥
    • 出版社: みすず書房
    • ISBN: 4622072203
    • 価格: ¥ 2,520

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