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書評

インドネシア―イスラームの覚醒 [著]倉沢愛子

[掲載]2006年08月20日
[評者]野村進(ジャーナリスト・拓殖大学教授)

■多角度からとらえた新潮流

 「ローニン(浪人)」と「ジバク(自爆)」——。インドネシア語化されたふたつの日本語が、読後、忘れがたい印象を残す。

 「ローニン」が学ぶのは日本の代々木ゼミナールを模した学校(45校もある!)だが、単なる予備校ではなく、イスラムの宣教を基礎に置く。一方の「ジバク」は戦争を知る世代に馴染(なじ)み深い単語で、しかし、こちらはバリでの爆弾テロで蘇(よみがえ)った。新旧日本語に通底するのは、イスラムである。

 従来の近代化論では、経済発展が進むと、信仰への関心は薄れるはずであった。ところが、インドネシアでは1990年代以降、日常生活でのイスラム化が色濃くなり、特に都市部の高学歴者のあいだで目立つ。この世界最多のイスラム人口を抱える国で何が進行中なのか。

 ジャカルタに長年在住し、インドネシア研究では定評のある著者の報告は、事件や現象を追うことに汲々(きゅうきゅう)とするマスコミ報道とは異なり、たしかに変わりつつある時代の潮流をミクロとマクロの視点から冷静に伝えている。

 著者は、インドネシアのイスラム国家化はまずないと言うが、近年のキリスト教徒への迫害を見ると、急進化への危惧が私には拭(ぬぐ)いきれない。


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    書籍詳細

    表紙画像

    インドネシア イスラームの覚醒

    • 著者: 倉沢 愛子
    • 出版社: 洋泉社
    • ISBN: 4862480330
    • 価格: ¥ 2,310

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