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書評

デッドライン [著]建倉圭介

[掲載]2006年09月24日
[評者]池上冬樹(文芸評論家)

■原爆投下阻止に動く日系人

 何とも力強くダイナミックだ。読み始めたらやめられない。まさに正統派の冒険小説である。つまり、過酷な時代状況のなかで、崇高な目的のために、苦悩する精神と酷使される肉体が描かれる。様々な障害や敵と戦い(その多くは内なる弱さとの戦いだ)、それらを乗り越えていく。

 舞台は第二次大戦末期のアメリカ。日系人部隊で欧州戦線に参加した日系二世のミノルは、世界初のコンピューター開発計画に参加し、日本への原爆投下が不可避であることを知る。ミノルは偶然知り合った日系のダンサーのエリイと共に日本への密航を決意する。日本にはミノルの両親と妹が、そして広島にはエリイの息子の透がいたのだ。

 北米大陸を横断し、アラスカを経由し、アリューシャン列島から樺太へ、そして北海道から東京へ、さらに広島へと向かう。願いはただひとつ、原爆投下の阻止。日本に降伏を勧めて、爆弾投下を回避するしかない。そうしなければ家族が、日本人の多くが死んでしまう……。

 ミノルとエリイの激しい愛、ミノルを追う米軍側の日系人たちとの息詰まる攻防、そしてサスペンス漲(みなぎ)る終盤の対話と奔走。気高く生きた日系人たちの、命をかけた戦争を描く秀作。


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    書籍詳細

    表紙画像

    デッドライン

    • 著者: 建倉 圭介
    • 出版社: 角川書店
    • ISBN: 4048737090
    • 価格: ¥ 1,890

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