2006年12月13日11時30分のアサヒ・コム
		アサヒ・コムBOOK

メインメニューをとばして、本文エリアへ朝日新聞社からアスパラクラブクラブA&A携帯サービスWeb朝日新聞サイトマップ文字拡大・音声

天気住まい就職・転職BOOK健康愛車教育サイエンスデジタルトラベル囲碁将棋社説コラムショッピングbeどらく

ここから本文エリア現在位置asahi.comトップ >  BOOK > 書評 > 角田光代記事

書評

よろしく [著]嵐山光三郎

[掲載]2006年12月10日
[評者]角田光代(作家)

■生き残っていくせつなさ

 とにかくよく人が死ぬ小説である。人の死なない章はないのではないか。

 「ぼく」の自宅の隣には老齢の両親が住んでいる。元T美術大学教授の父親ノブちゃんと、その妻トシ子さん。几帳面(きちょうめん)で博識のノブちゃんが、じょじょにぼけはじめ、トシ子さんと「ぼく」は相談して、彼を老人介護施設に入れることにする。その一方で、「ぼく」の暮らす近所では殺人事件が起き、不穏な空気のなか、意外な人間関係があらわれてくる。ノブちゃんのいる施設でも、老人たちが日夜大小の事件を起こす。色恋沙汰(ざた)もある。どこでも人が暮らしているかぎり、ざわざわと騒がしい。

 老いを扱った小説だが、文章はおおらかに乾いていて、暗さが微塵(みじん)もない。暗さはないが悲哀がある。死ぬ悲しみではなく、生き残っていくせつなさである。ところどころ挿入されたノブちゃん、トシ子さん、「ぼく」三人の俳句が、そのせつなさを見事に切り取ってみせる。

 老いてもなおつきまとう猥雑(わいざつ)さをあっけらかんと小説は書く。死のあとだってそのざわつきは逃れられない。しかし死の瞬間だけは、騒々しい日常のなか、ふと目をとらえた草花や夜の月のごとく、高潔である。その簡素な高潔さに胸を打たれた。


ここから広告です
広告終わり

関連情報

    書籍詳細

    表紙画像

    よろしく

    • 著者: 嵐山 光三郎
    • 出版社: 集英社
    • ISBN: 4087748057
    • 価格: ¥ 1,995

    別ウインドウで開きますこの本を購入する ヘルプ

    powered by amazon.co.jp

     
    ここから検索メニュー

    検索 使い方

    検索メニュー終わり

    朝日新聞サービス

    ここから広告です
    広告終わり

    BOOK おすすめレビュー

    売れ筋ランキング 一覧

    涼宮ハルヒの分裂

    BOOK サイトマップ



    powered by amazon.co.jp
    ▲このページのトップに戻る

    asahi.comトップ社会スポーツビジネス暮らし政治国際文化・芸能ENGLISHマイタウン

    ニュースの詳細は朝日新聞紙面で。» インターネットで購読申し込み
    asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
    | 朝日新聞社から | サイトポリシー | 個人情報 | 著作権 | リンク| 広告掲載 | お問い合わせ・ヘルプ |
    Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.