(1)あなたに不利な証拠として(ローリー・リン・ドラモンド著、駒月雅子訳)
(2)銀色の翼(佐川光晴著)
(3)アメリカ新進作家傑作選2005(フランシン・プローズ編)
(1)は本紙で書評した中から一冊。無名の新人のデビュー作なのに多くの人に読まれ、支持され、久々に書評家としての喜びを味わうことができた。女性警官たちの苦悩を徹底したリアリズムで描ききった大傑作です。書評にも書いたが、これほど“心が震える”小説は滅多(めった)にないでしょう。
(2)は書評したかった本から一冊。カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』(早川書房)も忘れがたいが、いささか注目度の低い佐川作品を。イシグロ同様、生きることの困難さを正面からしかと見据えている。“生きる手触り”を読者の内面に刻み込むような文章と感覚も素晴らしい。
(3)は解説を担当した本から一冊。(3)は毎年担当しているシリーズの新作だが、驚くほど多様な個性と技巧をもつ新人が多く、読んでいて圧倒される。日本の純文学の新人よりもずっとレベルが高い。注目!
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池上冬樹 作品選びと解説を担当した『ハードボイルド傑作選 わが名はタフガイ』(ミステリー文学資料館編、光文社文庫)。『藤沢周平と海外文学』(仮題)を来年中に。