(1)ネオンと絵具箱(大竹伸朗著)
(2)昼の学校 夜の学校(森山大道著)
(3)わたしを離さないで(カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳)
今年、東京都現代美術館で行われた「全景展」に行き、何かを作りたいという、まったく飾り気のない気持ちが、剥(む)き出しのまま塊になって展示されている、という印象を受けた。
(1)では、その剥き出しの塊が、ほろほろと言葉で解きほぐされる。著者が何を見て心を動かされるかが直接的にわかり、こちらも心を等しく強く動かされる。
(2)は、学生と写真家の一問一答式で構成されている。どんな質問でもできる空気、どんな質問にも本気で答える写真家の誠実さが伝わってくる。自分で選んだ何かに本気で関(かか)わるということを教えられた。
(3)は、驚愕(きょうがく)の事実を根底に置きつつ、それに揺さぶられることのない静かな筆致で、運命と人の関係性を描き出している。抗(あらが)いようのない運命のなかで、どれだけ人は自由を獲得できるのか。そんなことを考えさせる小説だった。
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角田光代 今年後半は共著を含め毎月新刊を出しました。最新作は『薄闇シルエット』(角川書店)。来年3月に新聞連載を単行本にする予定。まとまった休みがほしい。