(1)うらなり(小林信彦著)
(2)トリュフォーの映画術(アンヌ・ジラン編、和泉涼一・二瓶恵訳)
(3)西洋絵画の巨匠11 カラヴァッジョ(宮下規久朗著)
バルト『ラシーヌ論』、ヒューストン『王になろうとした男』、中島らも『何がおかしい』といったベスト級は本紙で書評したので、そこから漏れた三点を。
(1)今年の日本小説のベスト。もう一つの「坊っちゃん」という趣向から出発しながら、坊っちゃん以外の登場人物の人生の苦さと哀(かな)しみを凝視し、それを読むことの快楽に転ずる作者の腕前にただただ感服。
(2)トリュフォーの全インタビューを年代順に一つの流れにした編集も巧(うま)いが、それより何より、映画術をこえて自分の人生をある時は率直に、ある時は思わず語ってしまうトリュフォーの人間性に魅せられる。
(3)カラヴァッジョの主な作品を極上のカラー印刷で1冊に封じこめ、過不足ない解説を付した本書は、この異端の画家の日本語で読める決定版画集といってよい。しかもこの廉価。美術ファンは黙って買うべし。
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中条省平 著書『小説家になる!』(ちくま文庫)と、訳書のバタイユ『マダム・エドワルダ/目玉の話』(光文社古典新訳文庫)。