(1)下流喰い—消費者金融の実態(須田慎一郎著)
(2)若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来(城繁幸著)
(3)論争 格差社会(文春新書編集部編)
江戸の「その日暮らし」層は、幕末に徳川幕府を沈める最底層の軟泥になった。低所得層はしだいに不安定さを増して、いつかは国家の重心を傾ける。
(1)は、多重債務者をターゲットに、死ぬまで生き血を絞り続けるヤミ金融の実態を調べた迫真のルポルタージュである。貧困層に寄生して際限なく肥え太る金融業界の現段階がわかる。
(2)は、現在の「好況」の底辺で正社員の半分以下の賃金で働かされる派遣や請負、フリーターなど「使い捨てられる若者」の階層に注目。すぐ職場をやめる若者への非難ではなく、それを恒久化して未来を奪う雇用構造の批判である。
(3)は、「格差学入門」というべき手頃な一冊。今や流行語を越えて日常用語と化した「格差」をめぐる意見の対立を通して問題の輪郭を浮かび上がらせる。見方に論者の社会的地位が反映していて面白い。
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野口武彦 7月、文芸春秋から『江戸は燃えているか』を刊行しました。「週刊新潮」に「幕末バトル・ロワイヤル」の連載を継続中。