(1)ザ・ペニンシュラ・クエスチョン(船橋洋一著)
(2)それでも家族を愛してる(ポー・ブロンソン著、桐谷知未訳)
(3)戦争大統領(ジェームズ・ライゼン著、伏見威蕃訳)
ノンフィクションの分野でも、「白」か「黒」かのわかりやすい物語や、お涙頂戴(ちょうだい)ものが持て囃(はや)されている。そんな流れに抗する3冊。いずれも、混沌(こんとん)を混沌のまま受け止めて表現する著者の“体力”を感じさせる。
(1)は、不穏な北朝鮮をめぐる、外交の舞台裏を緻密(ちみつ)に再現した大作。日米だけでなく韓国、中国、ロシア、そして北朝鮮の当事者たちにインタビューを重ねているのは、アメリカの調査報道には見られない“全方位的”取材方法である。
(2)は、第三者の書き手が家族を描いて成功した稀(まれ)なノンフィクション。19の多種多様な家族が登場するが、どれもすっきりとは終わらない。読者にその場限りのカタルシスを与えない姿勢を貫くには、よほどの“体力”が要る。
(3)は、アメリカの調査報道の底力を改めて感じさせる一冊。(1)と読み比べるとおもしろい。
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野村進 11月に『千年、働いてきました』(角川書店)を出した。8〜9月にトルコを訪ね、イスタンブールの地下宮殿で物思いにふける。