■米の被虐待児、実態を報告
児童福祉に関して、米国のシステムは日本よりはるかに進んでいるといわれるが実態はどうか。本書は、虐待を受けた子供たちに向き合ってきたカリフォルニア州在住の日本人ソーシャルワーカーが、実体験をもとに現状と問題点を綴(つづ)った壮絶なリポートである。
著者が勤めるのは、24時間態勢で子供を受け入れるシェルターをもつ施設。麻薬中毒の親に虐待されて発達障害になった少女や性的虐待を受けた双子姉妹らの事例をもとに、セラピストや精神科医、ソーシャルワーカーらがどんな治療計画を立て、司法がどう介在し、実の親の更生がいかに連携されていく(連携されない)かが報告される。
心痛むのは、虐待の記憶が子供のその後の成長に与える影響だ。手を差し伸べた大人をも裏切って家を追い出され、「なんで、あたしのすること、ぜんぶこうなっちゃうの?」と涙する少女に答えられる大人はいない。子供たちの悲鳴は、世界で一番強いはずの国の未来への警鐘でもある。
子供にとって大切なのは「特定の大人との濃密で安定した永続的な関(かか)わり」という。著者はその体現者であり、地域ぐるみのケアシステムは明日にも参考になるだろう。