2007年02月21日16時45分のアサヒ・コム
		アサヒ・コムBOOK

メインメニューをとばして、本文エリアへ朝日新聞社からアスパラクラブクラブA&A携帯サービスWeb朝日新聞サイトマップ文字拡大・音声

天気住まい就職・転職BOOK健康愛車教育サイエンスデジタルトラベル囲碁将棋社説コラムショッピングbeどらく

ここから本文エリア現在位置asahi.comトップ >  BOOK > 書評 > 中条省平記事

書評

四谷シモン前編 [著]四谷シモン

[掲載]2007年02月18日
[評者]中条省平(学習院大学教授・フランス文学)

■人形作りに魂捧げた履歴書

 四谷シモンを初めて見た舞台は唐十郎の『愛の乞食(こじき)』だった。芳紀26歳の女形シモンのために唐は現行の戯曲にはない冒頭の長ゼリフを書き加え、「蓮(はす)の乱れる不忍池で……」のシモンの名調子に高校生の僕と友人たちは文字通りノックアウトされた。だからシモンがまもなく状況劇場をやめた時、僕らの目の前は真っ暗になった。涙なくしては読めない唐への別れの言葉も本書には収められている。

 シモンが状況劇場をやめたのは、人形作りに打ちこむためだった。そのすさまじい情熱がこの本の至るところから妖(あや)しい地熱のように噴きだしてくる。これは人形にとりつかれ、人形に魂を捧(ささ)げた人間の裸の履歴書だ。一見、書かれ方は柔らかい。人形作りのテクニック、唐や澁澤龍彦や土方巽との微笑(ほほえ)ましい交遊録、対談、10ページをこえる長い年表。どこから読んでも楽しい。だが、時々こんな言葉にぶつかって襟を正す。

 「人形は魂の容(い)れ物。魂を容れるのはそれを見ている人。そして容れ物はどこまでも精緻(せいち)で美しくあるのが理想だ」

 人間のさかしらな知恵や感情をもたない、純粋で空虚な容れ物としての芸術。僕はこの美しい言葉を一生忘れまいと思う。


ここから広告です
広告終わり

関連情報

書籍詳細

表紙画像

四谷シモン前編

  • 著者: 四谷 シモン
  • 出版社: 学習研究社
  • 価格: ¥ 2,625

別ウインドウで開きますこの本を購入する ヘルプ

powered by amazon.co.jp

 
ここから検索メニュー

検索 使い方

検索メニュー終わり

朝日新聞サービス

ここから広告です
広告終わり

BOOK おすすめレビュー

売れ筋ランキング 一覧

涼宮ハルヒの分裂

BOOK サイトマップ



powered by amazon.co.jp
▲このページのトップに戻る

asahi.comトップ社会スポーツビジネス暮らし政治国際文化・芸能ENGLISHマイタウン

ニュースの詳細は朝日新聞紙面で。» インターネットで購読申し込み
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
| 朝日新聞社から | サイトポリシー | 個人情報 | 著作権 | リンク| 広告掲載 | お問い合わせ・ヘルプ |
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.