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書評

マニュファクチャリング・コンセント1・2 [著]N・チョムスキー、E・ハーマン

[掲載]2007年03月25日
[評者]小高賢(歌人)

■「米国の世論」のつくられ方

 A5判の上下合わせて約七〇〇ページの大著。副題に「マスメディアの政治経済学」とあるように、寡占化の進んだアメリカの新聞・テレビがいかに「世論」という製品を製造し、流通させてきたのか。ケーススタディーを通し検証する。

 ヴェトナムやラオス、カンボディアなどのインドシナ、エルサルバドル、グアテマラ、ニカラグアなどのカリブ世界、さらに東欧や南欧でのアメリカの行動、それに対するメディア報道が徹底的に調べられる。すると、法則に近いパターンが浮かび上がるという。

 親米政権が登場すると、事態は改善しつつあると報道し、政権崩壊後は過去に遡(さかのぼ)って、実は悪辣(あくらつ)だったという風に書き改められる。端的な例がヴェトナムだ。

 反ゲリラ戦争、国際テロ組織といった新しい概念と宣伝。それを追随・拡大報道するメディア。9・11以降のブッシュ政権の歩みも、メディア報道もほとんど同じパターンだ。敵が共産主義からイスラム原理主義の国際テロネットワークに代わっただけだ。

 読み終わって、暗澹(あんたん)たる気分になった。まさか日本はここまでいっていないだろうが、マスメディア関係者にぜひ感想を聞いてみたい。

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