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書評

白系ロシア人と日本文化 [著]沢田和彦

[掲載]2007年04月15日
[評者]赤澤史朗(立命館大学教授・日本近現代史)

■有名無名の活躍の跡拾う

 今日の世界では、内戦によって大量の難民が生まれている。難民はしばしば、多くのものを奪われた存在だ。故郷、住居、仕事、そして人権の保護も。白系ロシア人とは、1917年のロシア革命後の内戦で旧体制の白衛軍側について、難民となった人たちのことである。日本に在留したのは数千人らしいが、彼らは個人的なコネや才能や力だけを頼りに、生きる道を見出(みいだ)していくのだった。

 白系ロシア人には当然ながら元白衛軍の将校もいて、日本で反ソ・反革命運動に従事する団体もあった。しかし日中戦争以降には、逆に日本の警察や憲兵からソ連のスパイの嫌疑をかけられて、監視・投獄される人たちも生じてくる。本書で主に取り上げたのは、困難な中で西欧の芸術やロシア文化を日本に伝えた、白系ロシアの知識人たちの活動である。

 本書は、本文の3分の1を書誌が占めており、日本に来た白系ロシア人に関する文献・人物事典の観がある。そこには日本人バレリーナを育てたパヴロバやロシア語雑誌の編集者など、有名無名の白系ロシア人の活躍の跡が、小さなものまで拾われている。来日した白系ロシア人研究の礎石となる書物といえよう。

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