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書評

ある島の可能性 [著]ミシェル・ウエルベック

[掲載]2007年05月13日
[評者]望月旬(文芸評論家)

■21世紀を未来から見ると

 スネークマンショーとか大人計画の「笑い」みたいに、知的&エログロ趣味なコント作品で、21世紀初頭の欧州を一世風靡(ふうび)したコメディアンが物語の主人公。その男が残した〈人生記〉に、約2000年後の“本人”たち(=クローン)が少しずつ〈注釈〉を加えてゆく! という形式のSF小説だ。

 1958年生まれの著者は、フランス文壇の鬼才。出世作の『素粒子』以降、物議をかもしつつも毎度、ベストセラーリスト入り。かなり、読者を選ぶ内容で(R40というか、“不惑”を過ぎた中高年を刺激する情報満載って感じですね)。

 フェラチオ&ジャグジーといった「男のロマン」を執拗(しつよう)なまでに謳(うた)う一方で、高度資本主義のシステムを辛らつに観察するのは従来どおりだが、本書は、“子供は持たない”ライフスタイルを指すはずの〈チャイルドフリー〉を拡大解釈するなど、今まで以上に挑発してくるし。

 カナリア諸島にある火山島ランサローテで花開いたカルト宗教団体は、人類に不老不死を約束してくれるらしいが……と、愛と性欲の「未来像」を探求する黙示録。

 日本の少子高齢化社会を憂うためにも、往年の名曲「子供達を責めないで」をBGMに読んでみるべし。

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