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書評

聖なる妄想の歴史 [著]ジョナサン・カーシュ

[掲載]2007年05月27日
[評者]唐沢俊一(作家)

■災厄を生んできた「黙示録」

 レーガン元米大統領の日記の中に、1981年6月にイスラエルがイラクの原子炉を爆撃した時、「ハルマゲドンは近いと本当に思った」という記述があると米誌が報じたのは記憶に新しい。ハルマゲドンとは、善と悪の最終戦争を意味する宗教用語である。日本でもこの言葉を教義に取り入れたカルト宗教団体が無差別殺人事件を起こしたことがあった。

 多くの日本人にとっては妄想としか思えない思想だが、レーガン以降の大統領全員(!)が、この教えを真実として信じる傾向の強い教派(再生派)に属すると聞くと、ちょっとぞっとせざるを得ない。信仰は自由とはいえ、アニメやSF映画に描かれるようなことを世界最強の国家の指導者が信じているかもしれないのだ。

 本書はそのハルマゲドン思想が記された預言書であるヨハネ黙示録が、どのように世界に広まり、また、人々がいかに現実の状況をその預言にあてはめて理解しようとしたかを、西欧史から説き起こしている。ユニークな文化史として楽しむか、あるいは訳者が奨(すす)めるように、現代世界の抱える問題提起の書として読むか。いずれにせよ、日本人がいかにこの方面において無知かを思い知らされる。

    ◇

松田和也訳

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