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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]渡辺政隆> 記事 書評 ブレークスルーの科学 [著]五島綾子[掲載]2007年06月24日 ■研究競争に必要なものとは かつての科学者イメージは、好きな研究をコツコツやる浮世離れした人というものだったかもしれない。 だが、そんなイメージはもう古い。流行に左右されない地味な研究では研究費が取れず、好きなことなどできはしない。流行の研究を追うとなると激しい競争の世界に投げ込まれる。 科学の世界では、原則として2番目の発見に意味はない。1番にならなければすべてがパーになる。だから、データ捏造(ねつぞう)などという問題も出てくる。アメリカ流の成果主義や競争的研究資金配分制度をわが国も奨励したことで、そうした風潮が加速されてきた。 本書は、現代科学の厳しい現状を概観すると同時に、白川英樹博士がノーベル賞に輝いた背景を探った好著である。 白川博士の研究は、大型研究費に頼らない研究の積み重ねと、異分野との思わぬ融合によって結実した。しかもその相手は成果主義の本尊アメリカの研究者。かの国には、苛烈(かれつ)な研究費獲得合戦の戦場であると同時に、異分野との手を携えた研究をも可能とする余裕と奥の深さがあるのだ。形式だけでなく、そうした科学の伝統も定着させられるかどうかに、今後の日本の発展はかかっている。
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