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書評

イビチャ・オシムのサッカー世界を読み解く [著]西部謙司

[掲載]2007年06月24日
[評者]佐山一郎(作家)

■ジェフ時代からの徹底分析

 著者は、オシム日本代表監督(66)が3年半指揮したジェフユナイテッド時代に立ち戻り、ケーススタディとしての21試合をピックアップ。持ち前の分析力で全員攻撃全員守備によるオシム流「トータルフットボール」の詳細を解き明かしていく。現状、本書がAFCアジアカップ(7月7日〜)観戦のための最良の参考書と言っても良いだろう。

 軽妙洒脱(しゃだつ)な文体で押しながらも、「日本と韓国のサッカーは似ている」「オシムのスタイルは日本以上に韓国に合っているかもしれない」と記し、意表を突く。

 相手に走り勝ち、球際で勝ち、執念で勝ち、試合にも勝つ、主張のある世界的にも異質なサッカー――がオシムのめざす「日本サッカーの日本化」と理解出来たが、まさにそれは温故知新。殊更目新しくもない戦術の再現ほど難しい。

 本書で著者は昨年行われた日本代表の7試合(ホーム3勝1敗/アウェー2勝1敗)で生じた問題として「相手のカウンター」を挙げ、「まだそこまで手が回っていない」と対応力不足を指摘している。

 会見でのオシム発言は知的な分だけ回りくどい。含意の読みとりという点で、オシムは著者の玄人仕事に感謝すべきなのかもしれない。

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