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書評

『洋酒天国』とその時代 [著]小玉武

[掲載]2007年07月01日
[評者]由里幸子(前編集委員)

■PR誌が醸した文化の薫り

 昭和30年代、寿屋(現・サントリー)が発行したPR誌『洋酒天国』は、豪華な執筆陣による博学、ウンチクの数々、ひねったユーモアやエスプリで人気を呼んだ。宴会ではなく個人で飲むという飲酒文化の変化だけでなく、雑誌メディアの多様化も先取りしていた。

 著者は後期に編集部にいた。個人的な体験や数々の資料からこの雑誌の魅力のみなもとをふりかえった。

 おうような2代目経営者佐治敬三、創刊からの発行人だった〈雑誌狂〉開高健に始まり、山口瞳、柳原良平、植草甚一、薩摩治郎八、埴谷雄高、山本周五郎ら、関係した多彩な人々の紹介から酒場文化の変遷まで縦横に筆は広がる。カウンターで年配の紳士から英雄列伝を聞くような味わいだ。

 背景には、「暮しの手帖」の花森安治と共通する佐治の新たな生活文化づくりの思想があったという。しかし、あくまでも「メンズマガジン」、天国は男性に開かれていた。アフターファイブが男女で分けられたことは現在にも影響していそうだ。いずれにしろ、高度経済成長前にあった人間関係の濃厚さや夢や欲望、志に引きこまれた。全61号の総目次だけでも想像が刺激される。

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