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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]巽孝之> 記事 書評 スコット・ジョプリン―真実のラグタイム [著]伴野準一[掲載]2007年07月08日 ■評伝にして異色の米国紀行 1973年の映画「スティング」以来、黒人作曲家スコット・ジョプリン(1868年〜1917年)は、ラグタイムの名曲「エンタテイナー」のメロディーとともに、一躍有名になった。しかし、じつのところ、世紀転換期に一世を風靡(ふうび)したラグタイムは、1917年のジョプリンの死を境にいったん廃れ、1920年代のジャズ・エイジからこのかた、しばらく忘れられては時折息を吹き返すというサイクルを、くりかえしてきたにすぎない。 その過程で、当初こそ売春宿などで演奏されていたがゆえに低級扱いされていたラグタイムは、やがて黒人以上に白人が愛しアメリカの誇りとする音楽と化す。今日では、ミズーリ州セデーリアにて毎春「ラグタイム・フェスティバル」が開かれているが、それを支えるのも主に白人の高齢者だという。 著者は、かくも皮肉なラグタイム発展史を解明するのに、アメリカ黒人史と音楽史をしっかりふまえてかかる。ジョプリン最後のオペラ「トゥリーモニシャ」の分析から、ピアニストとしての技量と梅毒感染とのかかわりの推測に至るまで、本書は広範な調査力と鋭利な批評力に貫かれた評伝であるとともに、異色のアメリカ紀行としても楽しい。
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