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書評

考―混迷の時代と新聞 [著]中馬清福

[掲載]2007年07月15日
[評者]音好宏(上智大教授)

■日本社会への危機感と警鐘

 出張などで東京を離れた際には、できるだけ地元の新聞に目を通すようにしている。地元紙には、その土地のニオイが詰まっている。良質のコラムに出合えたときなどは、その土地の文化の高さに敬服し、少し得した気分にさえなる。

 本書は、朝日新聞で論説主幹などを務めた後、長野の県紙・信濃毎日新聞で主筆として腕をふるう著者が、月に2度担当する大型コラム「考」の50本を1冊にまとめたものである。先のような理由から、この「考」は、私にとって以前から注目のコラムだった。国家、憲法、戦争、政治経済、教育など、取り上げるテーマは多岐にわたる。しかし、改めてこのコラム群を読んで感ずるのは、著者の日本社会に対する危機感であり、それに警鐘を鳴らそうとする新聞記者としての使命感である。

 この使命感の背景には、本書がサブタイトルに掲げるキーワード、「混迷の時代」に「新聞」は何ができるのかという著者の強い問題意識があることは明らかだ。それゆえに「考」では、日本のいまのジャーナリズム状況そのものに対しても、心優しくも厳しい注文を投げかける。

 現役若手ジャーナリストにも、ぜひ読んでもらいたい1冊である。

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