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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]小林良彰> 記事 書評 地方財政改革の政治経済学―相互扶助の精神を生かした制度設計 [著]小西砂千夫[掲載]2007年07月29日 ■「市町村の充実」へ実現可能な提言 「地方自治」を英語では、Local Self―Governmentと言い、直訳すれば「地方自己統治」という意味になる。しかし、日本の地方自治の実態は、およそ自己統治から遠く離れたものである。 そもそも日本では、地域のことは地域の自己決定と自己負担で行うという「自治の原則」と、同一負担で同一水準のサービスを享受する「均衡の原則」の二つの相矛盾する理念を抱えてきたことに、混乱の一因がある。 そして、ややもすれば後者に比重が置かれ、中央政府にいったん、税収を集めてから地方へ再配分するために、地方の歳入と歳出の均衡がとれず、中央政府にも過剰な財政負担がのしかかってきた。 本書は、機関委任事務を廃止した第1次地方分権や小泉内閣での三位一体改革を経て、安倍内閣における道州制論議に至る地方財政改革の本質を解きほぐし、今後のあるべき改革案を提示する。 具体的には、三位一体改革では、国庫補助負担金を削減して地方税へ移譲するとともに、地方自治体の歳出を圧縮して地方交付税を減額し、自治の原則の比重を高めようとした。だが、その結果、東京などの都市部では補助の削減分より増収分が多く、逆に地方では増収が少ない割には多くの補助が削られて疲弊したと著者は指摘する。 そして国税から地方税に移譲するだけでは都市と地方の税収格差が生まれてしまうため、地方の標準的行政サービスを保障するための国税の税源を増やしたり、個人住民税などの地方税の充実強化をはかることで、地方自治体の歳出の財源を満たすべきであると主張する。 また豊かな大都市と国、貧しい町村と国の間で事務負担の見直しを行い、場合によっては町村から国への権限「逆」移譲もあり得るとする。 著者の主張の背景にあるのは、市場原理至上主義に基づく地方財政改革を排し、相互補助の精神による地方財政全体のプライマリーバランスを図るというものである。従来の議論を丁寧に整理した上で、豊富で実現可能な提言を示した好著である。 ◇ こにし・さちお 60年生まれ。関西学院大教授。著書に『特殊法人改革の誤解』など。
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