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書評

ビッグイシュー 突破する人々 [著]稗田和博

[掲載]2007年07月29日
[評者]北田暁大(東京大学准教授・社会学)

■ホームレスの自立図る雑誌

 ジョニー・デップやブラッド・ピットといったスターから、アンパンマン、ミッフィーに至るまで個性的な面々が表紙を飾る、一見フリーペーパーのような小雑誌。このちょっとおしゃれな感じの(しかし内容的には硬派な)小雑誌は、大阪や東京の街中でホームレスの販売員たちによって販売されている。定価は200円。売れれば110円が販売員の収入となる。ホームレスの自立支援を理念として創刊された『ビッグイシュー日本版』である。

 本書は、この雑誌の立ち上げの事情や、販売のシステム、理念的背景、販売員や読者の『ビッグイシュー』との関(かか)わり方などを書きとめたドキュメンタリー。営利追求を前面に掲げた企業活動ではないが、収益を問わないボランティアでもない。2003年に立ち上げられたこのメディア・プロジェクトを、様々な角度から描き出している。

 情報化の進展のもと、空間や人間関係のバーチャル化がいわれる今、あえて媒体やコミュニケーションの物質性を重視する『ビッグイシュー』。「自己責任」論とは異なる地平で「自立」のあり方を模索する方向性を含めて、そのプロジェクトから私たちが受け取るべき示唆は大きい。

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