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書評

天才の脳科学 [著]ナンシー・C・アンドリアセン

[掲載]2007年07月29日
[評者]望月旬(文芸評論家)

■創造性は「氏」より「育ち」?

 脳トレとか塗り絵とか、小学生レベルの頭の体操がブームになって久しいですね、大人たちのあいだで。あるいは、教育熱心な親御さんならば、幼児教育への関心から、この書名には敏感に反応なさるのでは?

 本書は、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロをはじめ、モーツァルトやチャイコフスキー、ポアンカレ……天才たちの脳を手がかりに、人間がもつ創造性について研究した「理論書」なので、相応に歯ごたえのある書きぶり。でも、子供の才能を伸ばすことに関心がある向きは、第6章「よりよい脳を作る」におけるハウツーは知っておきたい(テレビを消そう、子供と一緒に本を読もう、小学校で外国語の教育をしよう、音楽に興味を持たせよう……)。

 PET(ポジトロン断層法)やfMRI(機能性磁気共鳴画像解析)を駆使しながら論を進める著者は、医学の道に進む前は英文学の教師をしていたらしく、芸術方面への造詣(ぞうけい)も深く、図表と同じくらい、数多くの詩作品を「資料」として引用するさまが圧巻だ。

 天才が開花するためには「氏(うじ)」(遺伝要因)よりも「育ち」(環境要因)こそが肝心という示唆が、実にいいのだ! 隠れた天才もいっぱいいるはずだし。

    ◇

 長野敬・太田英彦訳

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