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書評

オリエンタルズ [著]ロバート・G・リー

[掲載]2007年07月29日
[評者]巽孝之(慶應大学教授・アメリカ文学)

■白人から見た在米東洋人は

 オリエンタリズムと聞けば、かつてパレスチナ系知識人サイードが定義したとおり、西欧が東洋を支配しやすいよう捏造(ねつぞう)した紋切り型のイメージ群が思い浮かぶ。フジヤマ、ゲイシャ、ハラキリや、吊(つ)り目で弁髪、奇怪な衣装などなど。

 さて本書のタイトルは、サイード理論を承(う)けながらも、西欧人にとってはとてつもない魅惑とともに恐怖をもかきたてる在米東洋人を指す。たんなる海外からの来客(フォーリン)ではなく、見過ごしにできないほどまとまった人数で北米に住み着くようになった「永住外国人」(エイリアン)の集団を、さて模範的な民主主義国家たるべきアメリカは、いったいどのように遇してきたのか――。

 米国ブラウン大学で教鞭(きょうべん)を執る、自身が中国系アメリカ人の著者は、19世紀以来、20世紀末に至るまで、東洋系が白人支配階級にとって民族的かつ性的な脅威にもなりえてきた経緯を、ブレット・ハートからアンブローズ・ビアース、「散り行く花」から「ブレードランナー」「ライジング・サン」におよぶ多くの文学作品や映画作品を例に、克明に分析していく。ことはアメリカに限らず、現在世界全体の問題であることを実感させてくれる一冊だ。

    ◇

 貴堂嘉之訳

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