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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>書評>[評者]その他> 記事 書評 憲法9条の思想水脈 [著]山室信一[掲載]2007年08月05日 ■「英知の結晶」成り立ち追う 参院選での自民党大敗北のひそかな原因の一つが、憲法改正に性急な首相への不安では、と思えてならない。そんな改正論議の中心である憲法9条を支える平和思想の成り立ちを、丁寧に、丁寧に追っている。 戦争が古来、大きな災禍であった以上、洋の東西を問わず、不戦への道を説く思想は、長い歴史を持つ。一挙に国際政治の荒波に投げ出された明治以降の日本にも、東西の不戦思想の影響を受けた中江兆民ら多くの論者が現れる。特に、日清・日露の経験は、その願いを切実なものにした。 ただ、国内外を問わず、現実主義者から「夢想」と遠ざけられたのも確かだ。でも、その「夢想」が無駄であったともいえない。国際連盟、パリ不戦条約、そして国際連合とその夢の一部は形を変え実現してきた。9条の精神は、日本人を含む長い人類の英知の結晶であり、決して「押しつけ」うんぬんで片づけられるほどやわなものではない。 憲法草案に深くかかわった幣原喜重郎・元首相は、述べる。「戦争放棄は正義に基づく正しい道であって日本は今日この大旗を掲げて国際社会の原野を単独で進んで行くのである」。こんな言葉がまぶしすぎる時代は、少し悲しい。 ここから広告です 広告終わり 書評 バックナンバー
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