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残留日本兵の真実―インドネシア独立戦争を戦った男たちの記録 [著]林英一

[掲載]2007年8月5日

  • [評者]赤澤史朗(立命館大学教授・日本近現代史)

■1次資料を発掘して跡づけ

 第2次世界大戦後にインドネシア独立戦争に参加した残留日本兵は、約千人に及んだという。本書は、インドネシア名をラフマットという残留日本兵小野盛が記した独立戦争期の第一次資料を発掘し、インドネシア独立の複雑な政治過程を丁寧に追いながら、彼が独立戦争に身を投じた過程を跡づけたものである。

 著者は、残留日本兵の独立戦争への参加動機とされる、「アジア独立」をめざしてという理由づけは、むしろ後になって作られた説明であると推測している。ただし残留の動機は何であれ、元日本兵たちが軍人としての知識や経験を元手に、日本の国家や軍を離れた一個人として異国で生きようと決意したのは事実である。しかし自力で独立を勝ち取ったとするインドネシアのナショナリズムの論理は、独立に協力した元日本兵を「厄介者」に変えてしまう面があった。

 本書は、一個人のアジアとの交流史という観点を強調しているが、小野の後半生を含め残留日本兵の人生は、高度経済成長期以降には、一度は捨てたはずの日本との関係に大きく規定されたようにも見える。なお著者は84年生まれであり、資料の博捜ぶりなどその早熟の才能に驚かされる。

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