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書評

テレビニュースは終わらない [著]金平茂紀

[掲載]2007年08月19日
[評者]音好宏(上智大教授)

■現場発、メディア改革の提言

 いまの「メディア不信」の構造は、深刻である。そのようなメディア状況を糾弾する評論は数多いものの、著者が指摘するように、現役の報道人による論考は驚くほど少ない。いま、日本のメディアに求められているのは、抽象的なジャーナリズム倫理やネット技術への期待論ではなく、現実的なメディア改革に向けた検証・提言である。

 本書は、現役のテレビ報道局長が、イラク報道や選挙報道などを事例に、メディアの現場が直面する「国益・政治権力との距離」や「ネットとの関係性」、「ジャーナリズムにおける組織と個人」といった問題群を丁寧に検証しながらも、その意味をメディア状況全体のなかで論究しようとした意欲的な一冊だ。

 故・米原万里さんとのワシントンと鎌倉を結んでの電話対談も興味深い。イラクで人質となった3人の日本人に対してわき起こった「自己責任論」に、一部メディアが同調する姿に、政や官との蜜月のなかで日々仕事をこなす日本の大手メディアに内在する病理を突く。

 日本のテレビ報道が置かれた絶望的状況を人一倍憂うがゆえに、テレビの持つ潜在的可能性に希望をつなごうとする著者の、冷静だが熱い想(おも)いが伝わってくる。

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